介護業界で仕事をする場合、将来的にケアマネージャーの資格取得を目指して、実務経験を積むために、という人は意外と多いです。そのためか、新人としてこの業界に入ってくる人でも、試験勉強を通じてあらかじめある程度の知識を備えている事があります。それにより、新人教育が難しくなっているという側面があるようです。というのも、介護の仕事は知識があれば誰でもこなすことができるというものではなく、その場その場で適切な判断を行うことが必要となるためです。テキストで勉強した通りの行動を取ることが必ずしも最善ではなく、場合によっては柔軟な対応を求められることも少なくありません。

そのような判断の仕方を教えるのは容易ではありません。基本的に、現場の仕事を通じて身に着けていってもらうしかありません。加えて、介護業界は慢性的な人手不足のため、せっかく入ってきた新人を教育するための時間がなかなか取れないという点も悩みの一つです。新人を鍛えて一人前に育て上げるには、どうしてもそれなりの時間が必要になります。しかし教える側の人材や時間が確保できていないせいで、せっかく才能豊かな人が入ってきても宝の持ち腐れとなってしまうおそれがあるのです。

このように、介護業界の新人教育は時間をかける必要がある一方で、それを教える側の人材確保が容易ではないということが業界全体の大きな悩みとなっています。大きな企業が運営する施設では、まず各所の新人を集め、まとめて新人研修をするところも多いようですが、あまり規模の大きくない施設ではそういった事ができません。人材不足の悪循環を断ち切るためにも、良い新人教育方法が待ち望まれています。